● 3月9日「電撃」最新記事より

ーいよいよ発売ということで、本作がシリーズの中で、および宮崎さんの手がけた作品の中で、どのような位置づけのタイトルとなるかお聞かせください。

宮崎英高氏:
本作は、「ダークソウル」シリーズの大きな区切りになるタイトルと考えています。それは物語的な意味でもそうですし、我々が次に「ダークソウル」の次回作ではなく、別の幾つかのタイトルを制作していくという意味でもあります。



ーネットワークテストからの調整でとくに大きなものは何でしょうか?また、調整で苦労したポイントなどがあれば教えてください。

宮崎:ネットワークテストからの大きな調整点は、マルチプレイの基本人数ですね。本作のマルチプレイ最大人数は6で、これはネットワークテストから変わっていませんが、基本人数は4とし、「干からびた指」の使用によりこの制限を意図的に破れるよう調整しています。「干からびた指」の使用により3人目の霊体が召喚可能となり、同時に2人目の闇霊も侵入してくるようになります。




ー本作のテーマは「世界の終末」と「英雄譚」であると以前お話しを聞かせていただきました。これらをテーマに据えた、その理由は?

宮崎:それは、本作を「ダークソウル」シリーズの大きな区切りとして考えたとき、自然と出てきたイメージですね。シリーズを通じて行われてきた「火継ぎ」と、それを担ってきた「薪の王」たちの、最後を巡る物語です。

ー共通した世界観を持つシリーズ作品ですが、本作は前作からどのくらいの年月が経過しているのでしょうか?具体的な年数ではなくても、イメージがあれば教えてください。

宮崎:「ダークソウル」の世界では、時間の流れはごく曖昧なものなので、はっきりと数字を語ることはしません。ただ今作については、初代「ダークソウル」で行われた最初の火継ぎから、多くの火継ぎを経てきた最後の世界、というイメージはありますね。


ー過去作のゲーム用語で言うところの「生者」と「亡者」をつなぐアイテムは「人間性」や「人の像」でしたが、今回は「残り火」「薪の王を倒す」というように、過去の作品以上に「火」が本作の各要素を繋ぐ重要な概念のように思いますが、宮崎さんの思う本シリーズでの「火」のイメージとは何でしょうか?

宮崎:それは、初代「ダークソウル」の最初で語られているとおりです。すべての差異、あるいは差異の認識を生んだものですね。それがあえて「火」というモチーフで語られるのは、「火」が常に安定したものではなく、時に揺らぎ、時に消えかけ、ついには消えるイメージを含むものだからです。今作のテーマも、そうした「火」の性質を色濃く反映していると思います。

ー今作の素性は10種類と前作より多くなっていますが、その意図は?また、初心者にオススメの素性や、シリーズ経験者にオススメの素性がありましたら教えてください。

宮崎:素性の数については、初期戦略の幅を検討した結果、自然に出てきた数であり、とくに素性を増やそうと意図があったわけではありません。また、素性のオススメも責任がとれないので答えるのは難しいのですが(笑)強固な盾を持った2つの素性「騎士」と「伝令」はプレイがしやすいと思います。あとは「刺客」がオススメですね。最初から魔術を使え、だがその魔術が攻撃魔術ではないという、玄人向けの素性と思いますが、序盤から独特の攻略が可能な強力な素性であるとも思います。




ー戦技という要素を増やした意図&狙いと、それがもたらす変化について、あらためてお聞かせください。やはり積極的に使用することで、ボス戦の難易度や対人戦も大きく変わりそうでしょうか?

宮崎:戦技の採用意図は、大きく2点です。それは、各武器の持つ戦術性、戦い方の幅を深めることと、各武器のロールプレイ性、それぞれの武器らしい戦い方を可能にすることです。攻略やボス戦、協力や対人戦といった、このゲームの様々なシーンで、戦技による色々な変化や発見、あるいは楽しみがあると嬉しいですね。

ー宮崎さんのお気に入りの武器や、お気に入りの戦技を是非お聞かせください。

宮崎:ネタバレになりそうなので、現状では難しい質問ですね。公開されている範囲で言えば、お気に入りの戦技はメイスの「我慢」です。プレイヤーとしては聖職者でプレイすることが多く、なかでも「タフな聖職者」というのが好きなのですが、「我慢」の戦技は、そんなイメージの戦い方、ロールプレイを可能にしてくれますので。




ー武器カテゴリが同じであれば、基本的に「戦技」も共通なのでしょうか?例外的に違う「戦技」を持つ武器はどのくらい存在しますか?

宮崎:武器種別と戦技が一対一で固定されているということはありません。どれくらいの数が武器種別内の例外となるかは、武器種別により異なりますし、武器種別内の基本戦術が複数ある場合もあります。

ー各フィールドの構造はこれまで以上に立体的になっているということですが、その景観の見所と、探索の際のアドバイスがあれば教えてください。

宮崎:アドバイスということではありませんが、スケール感が増した探索を、ぜひ楽しんでいただければと思います。既に公開されている範囲でいえば、序盤のマップである「不死街」などは全体に広く、また隠し要素も多いので探索を十分に堪能していただけるマップですね。

ー新たに追加された属性「冷気」ですが、炎と正反対の属性を3作目にして追加された意図を教えてください。

宮崎:冷気については、テーマである「火」に対する存在としては考えていません。それは「冷たい谷の踊り子」の出身である「冷たい谷」に由来するものですが、その詳細は・・・まだ語るのをやめておきましょう。




※ 画像は本インタビューに関係なく、冷たい谷のイメージです。
著作/制作:https://twitter.com/tetsuok9999 
デジタルイラストの完成楽しみにしてます by 管理人

ー過去シリーズのような亡者状態を抑えた(完全なゾンビ状態にならない)意図をお聞かせください。

宮崎:これは初代「ダークソウル」からあった意見ですが、せっかく時間をかけてキャラメイクをしても、大半の時間を亡者状態で過ごす、というのを避けたかったということはあります。また一方では、今作でも亡者状態は存在し、それはこれまで以上に特別な意味を持っています。現状で詳細を語ることはできませんが、我々、というか私が、いかに亡者なるものに思い入れているのか、きっと伝わると思っています。

ー最新作である本作には、これまでのシリーズ作品に登場した鍛冶屋アンドレイが登場していたり、装備品なども幾つか復活したりしていますが、これらはどのような意図で収録されたのでしょうか。

宮崎:本作はシリーズの大きな区切りということで、過去作からのつながり、積み重ねの先にある世界を描こうと思いました。そのほうが、物語的なテーマにも合致するという判断です。もちろん、それらは主にフレーバーであり、前作や前々作をプレイしていないとダメだ、ということではありません。




ー本作には隠し扉(幻の壁)はありますか?

宮崎:ピンポイントな質問ですね(笑)。はい、今作にもありますよ。

ー「集中力」というパラメータが新たに加わって、「記憶力」がなくなった理由は?

宮崎:青色のゲージについて、魔法の身ではなく、戦技にも使用するものでしたから、記憶力ないしMPよりかは、集中力ないしFPのイメージがふさわしいと判断しました。

ーBloodborne の聖杯ダンジョンのようなやり込み要素はありますか?

宮崎:いいえ、本作に聖杯ダンジョンのような要素はありません。DLCなどでの追加も考えていませんね。

ーマッチングレベルがレベル制に戻りましたが、目安としてどのくらいのレベル差であればマッチングするように調整しているのでしょうか?調整の狙いなども教えてください。

宮崎:具体的な数値は、サーバ側で最終調整中なのでお答えできませんが、方針としては、どのようなマッチングであれば理不尽な戦力差が発生しない範囲になるよう、調整チームにはお願いしています。また合言葉マッチングでは、レベル差を考慮しないマッチングを可能とし、その代わりにレベル差が大きく開いていた時の能力調整を実装しています。

ー「ダークソウル」3部作の制作過程において、描きたい物語、表現したいゲーム性などは、ご自身の中で変化して行ったのでしょうか?あるいは変化しなかったですか?

宮崎:大きなテーマ、コンセプトはシリーズで共有していますが、やはり変化はあります。とくに世界観と物語の面で、それは色濃いと思います。私がディレクションをした初代と今作を比較しても、初代は「はじまり」であり、今作は「終わり」ですからね。

ー最後に、3月24日にロスリックの地へ旅立つ世界中のプレイヤーたちに向けて、激励の、もしくは警告のメッセージをお願いします!

宮崎:「ダークソウル3」のテーマの一つとして、「死の価値」というものがあります。世界観、あるいは物語的、そしてゲーム的にも、積み重ねられた死は無駄ではなく、きっとその先に繋がっている、というものです。ロスリックは無数の危険と悪意、そして滅びの寂しさに満ちており、主人公である火の無い灰は、無謀な王殺しに挑んでいきます。けれど貴方の死、おそらくたくさんの死は、きっとその先に繋がっています。心折れずに、旅を成就してください!



 




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